日常生活の中で何気なく見ているカーペットですが、今のようなカーペットやラグになるまでカーペットはとても古い歴史を持っているのです。どれだけ古いかご存知ですか?
現在のカーペットやラグができるまでの歴史を振り返ってみましょう。
最初の敷物
もともとは先史時代、人々は洞窟などに住んでいた時代に厳しい自然から身を守るために生まれた生活の道具の一つが敷物と言われています。
最初は動物の皮や枯れ草などを敷いていたのでしょうが、生活が狩猟から農耕・牧畜の時代になると綿羊が飼われ始め、その毛を敷物として使われるようになったようです。
敷物の起源は4000〜5000年前頃と考えられていますが特定はされていません。
当時はまだおられた敷物はなく、フェルトのような動物の毛を固めて平らにしたようなものだと言われています。しかしこの敷物が寒さや地面の硬さから身を守って、住居の快適性を飛躍的に高めていきました。
フェルトから織りへ
やがて織の技術が生まれ、平織りの敷物も作られ始めます。特に古代バビロニアやエジプトの技術が目覚ましく、エジプトのファイユーム遺跡から出土した麻布は紀元前4200年頃のものとされ、世界で最も古い織物とされています。やがて技術の進歩とともに、紀元前4000年頃には平織り、綾織り、あじろ織り、つづれ織りなどが織られるようになります。
そして、パイルの敷物が現れてくるのですが、これがいつ頃なのか起源がはっきりしていません。場所も中央アジアやペルシャ、インド、中国など定説がありません。しかし紀元前10世紀ごろのイランあたりではないかという説が有力になっています。
最古の絨毯
世界最古とされている絨毯は、ロシアの考古学者セルゲイ・ルデンコによって、シベリアのアルタイ山脈パジリク渓谷にあるスキタイ王族の古墳から発見された、2500年前の絨毯が最古とされています。その絨毯は中央アジアで作られたという説が有力で、羊毛とラクダの毛で織られたパイルの絨毯で、スキタイの王侯を葬る際に棺に納められた埋葬品の一つとみられており、『パジリク絨毯』と呼ばれています。
また、完全な形で現存している最古の絨毯としては『アルデビル絨毯』があります。この絨毯にはアゼルバイジャン・アルデビルと織り込まれているために『アルデビル絨毯』と呼ばれています。さらに「この仕事は946年、カーシャーンのマクサドにより始められた」とも記されており、制作年がはっきりしています。イスラム暦で946年は西暦で1569年になります。
ペルシャ絨毯の黄金期
ペルシャ絨毯は16〜7世紀に最盛を迎えます。16世紀サファヴィー朝のイスマイール帝(1504〜1524年)、タハマースブ帝(1524〜1576年)、アッバス帝(1587〜1629年)の時代に建築、絵画などとともに絨毯などの工芸品も黄金期を迎えます。
特に、シャー・アッバース帝の時代には王宮や庁舎、邸宅などの建築ラッシュもあり、数多くの絨毯工房が作られ絨毯の需要も拡大しました。このころの宮廷では羊の飼育から占領用の植物の栽培まで一貫して行われており、外国の王族や高官への贈り物や輸出品としても数多くの絨毯が制作されました。
この時期の絨毯はインドのムガル帝国やトルコのオスマン帝国にも影響を与えています。今日のデザインもこの時期のものが基本になっているとも伝えられています。
ヨーロッパの絨毯
ヨーロッパでは11世紀の十字軍ののちに絨毯が見られるようになったと言われます。しかしその頃の絨毯はヨーロッパではとても貴重で、床に敷くようなものではなく、壁やテーブルを飾る目的で使われていたようです。
スペインではイスラムの侵入より前、10世紀には絨毯の生産が行われていたと言います。最古のスペインの絨毯は「シナゴーグ絨毯」と言い14世紀ごろに遡ります。
フランスやイギリスでも16世紀から17世紀にかけて絨毯の製造が始まっています。
絨毯の発展
1801年 フランスのジョセフ・ジャカールがパンチカードによる織機、ジャガード織機を発明。
1820年 ジャガード織機が進歩し、ウィルトン織機が発明される。
1890年にはアキスミンスター織機が発明されます。また19世紀末、アメリカのジョージア州の農家に住むキャサリン・エバンスという女性が、平織りの布に綿糸を刺してパイルを作るという手法でベッドカバーを作りました。これがカーペットに応用されてタフテッドカーペットが作られるようになりました。
このように19世紀には様々な織り方のカーペットが大量生産されるようになりました。
そして日本でも
日本でも明治時代になると西洋文化の流入とともに絨毯の需要が増えていきます。
現在では、経済成長とともに重要はどんどん伸び、国産メーカーも増え、最近のカーペットは多様な織り方だけではなく、防ダニ、防音、抗菌、撥水など、いろいろな機能をもたせたカーペットやラグが登場し、生活をより快適にしています。