毎年クリスマスが近づいてくるとなぜかワクワクしてきますね。昨今はハロウィンも注目されていて、10月に入った頃からあちらこちらでハロウィンの飾り付けが見られるようになります。
そしてハロウィンが終わって11月になるとハロウィンの飾り付けが一気になくなり、街ではクリスマスの飾り付けが目につくようになっていきます。
でも、みなさんはクリスマスのことをどれくらい知っているでしょう。クリスマスについての疑問を解決したいと思います。
クリスマスって何の日?
クリスマスとは英語でキリストのミサの意味でイエス・キリストの降誕祭のことを言います。降誕祭とは、聖人などの生まれた日を祝う祭りでイエス・キリストの降誕祭がクリスマスと言うことになるのです。
一般にはクリスマスはイエス・キリストの誕生日と思われていますが、正しくは誕生日ではなく、神の子であるイエスが地上に現れたことを祝う「降誕祭」なのです。(「降誕」とは、神仏・貴人・聖人などが生まれること。ー 大辞林)
しかし3世紀まではイエス・キリストの降誕よりも東方の三博士(三賢人)によって幼子イエスが見いだされた1月6日のほうが重要だったようです。そしてその日を公現祭と呼び、キリスト教徒にとっての新年の始まりとされていました。
降誕祭が12月25日に行われるようになったのは、最初のカトリック教徒になったコンスタンチヌス大帝時代のローマで325〜354年の間とされています。336年の12月25日にローマで降誕祭が行われたことが確認されています。ですからクリスマスを祝うようになったのは、4世紀以降ということになります。
イエス・キリストは本当に12月25日生まれなの?
実を言うとイエス・キリストの正確な誕生日を示す記録は新約聖書にもないのです。マタイとルカによる福音書にはイエス・キリストの生誕について書かれてはいるのですが、それがいつだったのか具体的な日付の記述はないのです。今のようなカレンダーや時計がない時代ですから今日が何月何日かなんてあまり気にしていなかったのかもしれません。
イエス・キリストの誕生日も1月6日、3月28日とか4月2日、4月29日、5月20日など幾つかの説がありました。ではなぜ12月25日になったのでしょうか。
当時のローマ帝国では太陽を崇拝するミトラス教が普及していました。そのミトラス教の最も重要な祭り、主祭日が冬至にあたる12月25日だったのです。そこでキリスト教徒でもあったコンスタンチヌス大帝はキリスト崇拝と12月25日を結びつけたのではないかという説が有力です。
日本にクリスマスが来たのはいつ頃?

日本にキリスト教を紹介したのは誰かと言うと、歴史好きでなくてもご存知の方も多いのではないでしょうか。それはイエズス会の宣教師フランシスコ・ザビエル。時代は1549年のことです。
そしてその3年後の1552年の12月25日(日本の暦では天文2年12月10日)にイエズス会の宣教師コメス・デ・トルレスらが、山口で日本人の信徒らを招いてクリスマスのミサを行ったというのが、日本で最初のクリスマスとなりました。
しかし江戸時代になるとキリスト教が禁止され、隠れキリシタン以外ではクリスマスが祝われることはありませんでした。しかし幕末に日本が開国した頃からは、日本に赴任した外国人の間だけではクリスマスが祝われていたそうです。
その後、禁制が解かれキリスト教が受け入れられクリスマスが復活したのは明治以降。民間にクリスマスが広まったのは、1880年代に丸善がクリスマス用品を輸入し始めた頃だと言われています。
明治から大正、昭和にかけてクリスマスは庶民の間にも広まり、戦時中の一時期はクリスマスも自粛されましたが、戦後になるとクリスマスも復活をして1950年代頃になると生活にも多少の余裕が出始め、歓楽街で羽目を外すお父さんたちの姿も多く見られるようになりました。また核家族化が進んできたこともあってか、家庭でクリスマスを祝うことも増え始め、クリスマスケーキやローストチキンがたくさん売れるようになってきます。
現代では、クリスマスも商業化、クリスマス商戦も加速してきています。どちらかというとクリスマスの宗教的な意味合いより、家庭だけではなく恋人たちが親密度を深める季節のようになってきています。
クリスマスは「X’mas」となぜ書くの?
クリスマス(Christmas)とはキリスト(Christ)のミサ(missa)と言う意味です。
クリスマスはギリシャ語でΧριστός(クリストス)と表記し、その頭文字の「Χ(カイ)」と同じ字体がラテン文字の「X(エックス)」であり、キリスト架けられた十字架に通じることからChristの省略形として「X(エックス)」が用いられるようになったのです。
しかし最近、X’masのように「X」の後に「 ’(アポストロフィー)」を入れるのは日本だけの習慣で、本来は間違った表記というのが最近では多く言われるようになっています。欧米では「Xmas」「X-mas」と表記します。なぜ日本で「 ’(アポストロフィー)」が入れられるようになったのかは、「X」が「Christ」の省略した形だということで、省略形の後にはアポストロフィーがつかなければならない、という日本人独特の思い込みがこのような表記を作り出したのではないかというのですが…。
実は、欧米でも「X’mas」の表記があるのです。アメリカやイギリスのGoogle、Yahooなどで検索をしてみてもX’masを使われているのが確認できます。確かにXmasやX-masに比べれば極めて少なく、それがX’masを間違った表記であると思わせてしまったのではないでしょうか。
メリー・クリスマスのメリーとはどういう意味でしょうか?

「merry」とは辞書によると陽気な、快活な、うきうきした、楽しい、といった意味です。一般にメリー・クリスマスは「クリスマスおめでとう」と訳されていることが多いのですが、実は「Merry Chrismas」の前に「I wish you」という言葉が省略されているのです。
本来「I wish you a Merry Christmas!」という言い方が省略され「Merry Christmas!」という言い方になったようです。ですから、日本語の意味としては「楽しいクリスマスが迎えられますように」と言った意味になると思われます。有名なクリスマスソングに「We Wish You a Merry Christmas」という曲もありますよね。
そういえば日本でもクリスマスが終わって年末が近づいてくるとあちらこちらで「よいお年を〜」という声が聞こえますが、これも本来「よいお年をお迎えください」ということなので何か似ていませんか?
クリスマスに七面鳥を食べるのはなぜ?

日本では、あまりお目にかかることのない“ローストターキー”です。
クリスマスに七面鳥を食べるのはどうもアメリカ発の習慣のようです。アメリカには「感謝祭(Thanksgiving Day)」という日があり、祝日になっています。この感謝祭というのは新天地を求めイギリスから新大陸アメリカに移住した清教徒たちが最初の収穫を祝ったのが起源とされています。しかし入植当初の冬は厳しくイギリスから持ってきた作物も育たず、大勢の死者を出したと言われます。
その時に先住民族のインディアンから食料の援助を受け、その中に七面鳥が含まれていたことから、感謝祭に七面鳥を食べるようになったということなのです。それ以降、感謝祭以外のお祝いの席では七面鳥を食べることが欠かせなくなり、クリスマスにも七面鳥を食べるようになり、ヨーロッパにも広まったということです。
ちなみに日本では七面鳥は入手が難しいので、チキンを食べることが多いですけど、クリスマスが近づくとケンタッキー…を予約される方も多いのではないでしょうか。
クリスマスケーキの由来

クリスマスの定番ですよね。
七面鳥の話が出てきたので、もう一つ食べ物の話です。クリスマスが近づいてくるとあちらこちらのケーキ屋さんやスーパー、コンビニでもクリスマスケーキの予約が始まります。クリスマスはキリスト教のお祭りで、欧米の習慣なのですが、クリスチャンの少ない日本でも予約をしなければならないほど売れているのですね。
日本のクリスマスケーキはスポンジケーキにホイップクリームやバタークリームをたっぷり塗って、サンタさんの人形やいろいろな飾りがついて、チョコレートの板に“Merry Cristmas”と書かれていたりして、とても楽しいものです。
いつからこのようなクリスマスケーキが登場したのはいつかというと、1922年にペコちゃんでお馴染みの菓子メーカー不二家から始まったということらしいのです。でも、このようなクリスマスケーキは日本と韓国ぐらいで、本場のヨーロッパでこのような派手なクリスマスケーキは見られないようです。
でもヨーロッパにもクリスマスケーキがあります。例えば、フランスだと『ブッシュ・ド・ノエル』、イギリスは『クリスマス・プディング』、ドイツでは『シュトレン』がクリスマスに食べられています。
ブッシュ・ド・ノエル(ビュッシュ・ド・ノエル):フランス

近頃、定番のクリスマスケーキだけではなく、このブッシュドノエルもよく見かけるようになってきました。
このブッシュ・ド・ノエルは、近頃日本でも人気でよく見るようになってきました。日本の派手なクリスマスケーキと違って、丸太を模した素朴な形がクリスマスの精神性と合うのでしょうか。テレビでもよく紹介されるようになったような気がします。
「ブッシュ」はフランス語で「薪」、「ノエル」は「クリスマス」を意味し、その名の通り「クリスマスの薪」という意味です。
ブッシュ・ど・ノエルの由来としては幾つかあるようですが、その一つとして、昔のヨーロッパではクリスマスの深夜から1月6日の公現祭(エピファニー)まで、太い薪を暖炉で燃やし続けたという習慣に由来があるようです。
クリスマスプディング:イギリス

日本ではほとんど見かけることはありませんが、イギリスではクリスマスの定番です。
イギリスのクリスマスには欠かせない伝統的な真っ黒のケーキ、クリスマスプディングです。干しぶどうをはじめとするドライフルーツやナッツや香辛料がたっぷり入った生地を蒸し、それを何ヶ月も熟成させます。中には一年以上熟成させたクリスマスプディングもあるようで、熟成させればさせるほど味に深みが増すそうです。
食べる時は、もう一度蒸してそのあとブランデーを振りかけ、火をつけた状態でテーブルに運ぶのが伝統だそうです。
イギリスの家庭ではそれぞれにレシピがあり、家庭ごとに味が違い、結構こだわりがあるようです。
シュトレン(シュトーレン):ドイツ

最近は、日本でもクリスマスシーズンになると、見かけるようになりましたね。
一説では14世紀のドレスデンが発祥と伝えられるシュトレンはドライフルーツやナッツが生地に練りこまれていて、シュガーパウダーがたっぷりかけられたパンです。シュトレンも伝統のパンで、それぞれの家庭独特のレシピがあるようです。
シュトレンの意味は「坑道」という意味だそうです。また、シュガーパウダーをたっぷりかけたその姿は、真っ白な産着に包まれた幼子イエスをイメージしているともいわれています。
食べ方も独特で、クリスマスまでのアドベント(イエスの降誕を待ち望む期間)の間に少しずつ切り分けて食べるのが古くからの伝統だそうです。
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